受賞のことば

八束 澄子

 2017年に『明日のひこうき雲』で同じく選定をもらったときには、国際という言葉に舞い上がって、ボローニャで開かれた見本市まで実際に自分の目で確かめに行ってきました。そのときの街をあげてのお祭り騒ぎの盛況ぶりに、世界の人々の子どもの本に寄せる熱い思いを肌で感じて興奮したものでした。
 あれから四年。コロナに紛争に気候変動。世界は加速度的に不安定化を増しています。子どもたちを取り巻く環境も悪化の一途をたどっています。子どもの本になにができるのか? 能天気に喜んではいられない状況の中、考え込んでいます。言葉でしか戦えない私たちですが、どんな言葉を次の世代に残せるのかが試されていると思います。

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