受賞のことば

うたか いずみ

 この度、兵庫県の芸術文化団体「半どんの会」から、児童文学部門での文化賞をいただくことになりました。主に近年の児童文学における、童謡詩創作や各所への発表などの活動に対しての受賞ということです。これまで童話や物語も書いてきましたが、お導きいただいたご縁があって、数年前より童謡詩というジャンルにも関わらせていただくようになりました。地道に創作していることを、見守り推していただいた方々がいて下さったことが、何よりありがたいです。「よりいっそう励みなさい」と、背中を押されたように思います。
 童謡詩は、口語自由詩のことが多いですが、一番、二番、三番などというスタイルを意識しつつ、詩がメロディーに乗ることを考慮しながら創作する必要があります。創作した童謡詩に目をとめて、作曲家の方々に曲を付けていただいて、初めてひとつの童謡曲が生まれます。そして、CDに収録していただいたり、舞台や歌の教室やユーチューブなどで歌って発表していただき、聴いてくださる方々の心のもとに届いてこそ、初めて紙に書かれた文字が、音楽として羽ばたいていくのだと思います。わたしひとりでは、何も完成させることはできません。童謡詩『ゆうやけパレット』は令和三年度東京都全小学校対象の児童作曲コンクール課題詩に選定していただき、百二十八人もの児童たちの曲が生まれました。
 童謡は日本にしかない文化です。百年も前に生まれた歌が今も歌い継がれていて、人それぞれの心の中に、思い出の風景とともに生きていることと思います。童謡詩には、深い意味が込められていたり稀有な物語が紡がれていることも、学んでいくうちに知ることができました。これからも、学びは続きます。
 慣れ親しんだ過去の童謡も大切に守りつつ、今を生きる人々の心にマッチした童謡詩も創作していきたいです。わたしは、子どもや大人などという分け方を意識せず、さまざまな人の楽しさや悲しみに寄り添いつつ、自分の中からわき上がる想いや、日常の中にあるふとしたシーンや、自然の美しい情景を描いた童謡詩を、これからも書いていこうと思います。ありがとうございました。

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