受賞のことば

トーヤマ ケンタ

 「日産 童話と絵本のグランプリ」は、1984年に創設されたアマチュア作家を対象とした童話と絵本のコンテストです。大阪国際児童文学振興財団と協働で実施され、大賞受賞作は出版されるため、新人作家の登竜門と称されています。
 作品の締切は10月末なので、勤務している学校が夏休みに入ると書き始めて応募していました。
 作品は、小学三年生の少年の視点から描いた物語です。近所のあかずの踏切に特急2台が同時に通過する時、願い事が叶うとうわさを聞いた少年は、家族にうそをついて出かけます。胸にあったのは仲良しのおじいちゃんのことで…
 何でもないささやかな暮らしの一場面にも、その子だけの物語があるのではないかと、幼い頃の記憶をよみがえらせながら描きました。少年のかなえたい願い事を通り過ぎる特急に重ね、誰かを想う気持ちを込めて。亡き祖父や幼い頃の思い出を描いた思い入れのあった作品なので佳作入賞は嬉しいです。
 ただ、大阪府立中央図書館であった授賞式は3歳の息子の急性胃腸炎がうつって親子でダウンしてしまい参加出来ずでした。とても残念でしたが、もっと成長してから来なさいと童話の神様から言われたと考えることにし、一層精進したく思います。これからも描きたいテーマを自分の中で深めながら、大好きな児童文学の世界に触れていきたいと思います。

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