受賞のことば

冨樫 由美子

 みちのく童話賞は、東北在住・ゆかりの児童文学作家の方たちが、子ども達の心に光をあてることができる新たな童話(児童文学作品)と書き手の誕生を願って立ち上げ、東日本大震災から十年目の二○二一年(令和三年)に第1回が開催されました。
 応募資格は原則として東北地方在住のアマチュアということで、わたしは秋田県に住んでおりますので、はりきって第1回から応募しました。
 第1回では一次選考通過どまりでした。くやしかったのですが、受賞作品集を読み、とても刺激になりました。
 二○二二年、第2回に応募した作品は、千葉県の海べりの町から秋田県の内陸の町へ転校した小学校三年生の女の子の話です。主人公・沙也加は、慣れない雪道を、何度も転びながら歩くうちに、町をすこしずつ受け入れていきます。そして、美菜という秋田っ子とも心を通わせます。
 私自身が、中学生の時に茨城県南部の町から秋田県に越してきた体験をもとに書きました。東北の冬はほんとうに厳しいのですが、出会った多くの友達に支えられながら過ごすうちに、その美しさを愛して過ごせるようになりました。
 「友達」は人間だけではなく、自然界にもいます。作中に白鳥の鳴き声が出てくるのですが、どんなオノマトペで表現しようか悩んでいたときに、窓の外の低いところを、白鳥たちが鳴きながら飛んでいったのです。その声がわたしの耳に「キュォルッ キュォルッ キュォルッ」と聞こえ、そう書くことができました。
 七枚という短い枚数の中に、長年抱いてきた秋田に対する気持ちをぎゅっとつめこんだ作品で優秀賞をいただくことができ、とてもうれしいです。
 これからも「みちのく」秋田で自分のテーマをみつめて、書き続けていきたいと思います。

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