受賞のことば

佐藤 まどか

 今年は良い事と悪い事が交互に起きて、ピョンピョン飛び上がったりズブブ沈みこんだりと、忙しい年でした。ウン十年ぶりに日本でお正月を過ごし、おみくじも「吉」と大満足のスタートでしたが、その後はみなさんご存知の通り、イタリアで厳しいロックダウン生活が始まりました。キスやハグが大好きなイタリア人には、さぞきつかったことでしょう。ニュースを聞いては泣き、医療従事者に毎晩拍手をし窓から愛を歌いボランティアにいそしむイタリア人の温かさを見直しては泣く、涙腺崩壊の毎日でした。
 そんな数か月を過ごし、五月に日本児童文学者協会賞受賞のお知らせを受け、夢うつつで実感がわかぬまま夏になり、コロナも収束しかけてきたら、今度は小学館児童出版文化賞にノミネートされました。いい事が続くわけない、きっと悪いことが起きるに違いない。意外に心配性な私は、ビビりまくって転ばないように気をつけて、ひっそりと暮らすこと数週間。結局受賞を逃した知らせを受けて、納得しつつもがっかりして、ヤケワインを(半杯だけ)飲みました。ああ、酔えるほどお酒が飲めたらなぁ。
 ところが、今度は同じく『アドリブ』で、児童ペン賞少年小説賞受賞のお知らせが!!
 また何か悪いことが起きるんじゃないかと冷や冷やしていたら、やっぱりね。夏の移動で新規感染者数二百からどんどん増えて第二波を迎え、秋の日本行きは中止にし、十一月下旬現在またまたロックダウン中。でも今年は、こういった受賞がなかったら、ヤケワイン半杯ではすまなかったかもしれません(酒豪への第一歩のチャンスではあったかもしれないけど)。二〇二一年はますますがんばりますので、どうか執筆の神様、見放さないでくださいね。
 日本語の分からない夫と丘陵地帯に引きこもる孤独な日々には、SNSで繋がっている季節風の仲間がいてくれて、本当に良かったと実感しています。ありがとうございました。早く日本で皆さんにお会いできますように。

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