受賞のことば

森くま堂

 ふり返ってみれば、あれが人生のチェンジポイントだったと思われる時点があります。
 そういう時に限って、本人は全く気がついていないのですが……。
 最初は、晩年学フォーラムという試みが母校で開かれるという記事を、新聞で読んだ時でした。子育てだけに埋没していた日々。行ってみたいと思いました。結婚して以来初めての一人での遠出。心配した夫が、京都までの道筋を何度もレクチャーしてくれました。
 その次は、季節風のホームぺージに巡り合ったとき。書きためた原稿は紙くずみたいに積み重なっていました。この先、だれにも読まれず終わるのかと思うとやるせなくて、子どもが置いていったパソコンに「どうしたらいいんだろう」と、何気に打ち込んでみました。ぼんやりとネットサーフィンを繰り返していたら、びっくりすることに(どうやら原稿を読んでくれるらしい、でも会員に限るらしい)ページに行きついたのです。季節風でした。前後も考えず、いきなり申し込みをしました。すぐに後藤竜二さんからお返事が返ってきて、腰を抜かすほど驚いたことが忘れられません。西日がさしていたあの部屋、あの時が、間違いなく二度目のチェンジの時であったと、今しみじみ感じております。
 このたびの「つばさ賞」読み物部門優秀賞受賞は、これらの偶然と、その後、日々切磋琢磨努力していらっしゃいます数多くの優しい仲間のみなさんと出会えたこと、拙い投稿にいつも鋭く的確なご指摘をいただいたことなどに導かれたものだと思います。私のところに、こんな幸運が舞い込んでくるなんて、まったくもって今でも信じられません。
 が、この受賞が三度目のチェンジになりますよう、これからも精進していく所存です。
 いつも厳しく、温かく見守って下さいました同人のみなさま、ありがとうございました。
 これからも、どうか一緒に学ばせていただけますよう、よろしくお願いいたします。

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