受賞のことば

望月 芳子

 来るかな? 来ないかな?
 学研教育出版と日本児童文学者協会が共催する「子どものための感動ノンフィクション大賞」の受賞作が決定した日から、私は児文協からの通知を待ってそわそわしていました。手紙かハガキが来れば受賞、一、二週間待っても連絡が来なければ落選。ですから、郵便受けに児文協の白い封筒を見つけた時にはとてもうれしく、ドキドキしてなかなか封を切ることができませんでした。
 この賞は二年に一度の公募で、一次選考と二次選考があります。今回、一次選考を通過した方々の中には過去の受賞者やプロのライターさんが複数おられたので、初めて書いた長編が賞をいただけたことは望外の喜びです。
 受賞した作品は、東北で小さな新聞社を経営する老記者が、東日本大震災で被災して新聞が出せなくなり、一時は廃刊を考えるも、新聞を待ち望む地域の人々の励ましや家族の支えで新聞を復刊するまでの物語です。復刊後は、遅々として進まない復興にいらだつ人々を元気にし、亡くなった地元住民を悼む紙面作りに力を入れていて、「情報の力」や「伝える仕事の意義」を私自身が再確認させてもらいました。
 子ども向けノンフィクションとしては地味なテーマでしたが、これからも真摯に何かに取り組む人々の姿を伝えていきたい、と思っています。

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