受賞のことば

草香 恭子

 この度は、素晴らしい賞をいただき、ただただ恐れ入るばかりで、選んでくださった皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。
 『花束のカード』は、最初、第三十七回の季節風大会のなんでもあり分科会で、改題と一部の書き直しを条件に推奨作に選んでいただき『陽だまり』として季節風の百二十五号に載せていただきました。当時関わった児童相談所や、そこでお世話になった子どもに「あなたが幸せになるためなら、誰にも遠慮しなくていいんだよ」と言いたくて書いた作品です。
 そして、次の年の大会には後半部分を書き足して物語分科会に参加しました。結構イケてるつもりだったのに、合評では「後半が浮いている」「ウソっぽい」……チーン(私が意気消沈する音)でしたが、あさのさんに至っては「後半、いらんのちゃう?」と明るく言われ、いっそ清々したのを覚えています。その後、一旦、後半部分を全消去し、おばあさんと愛実の関わり中心に書き直して『花束のカード』が誕生しました。
 授賞式は、担任する小学一年生(まだ担任の言葉しか通じない時期)の授業参観の日。参観終了とともに、お母さんたちをかき分けて裏門から上靴で脱出。待っていた夫の車でパンプスに履き替えて上京しました。ネット検索では会場最寄駅に着くのが開会の十分前で、それだけでもドキドキなのに、その日の星占いは最下位。「番狂わせがある」と……。すがった「小指にイニシャルを書く」というおまじないが効いたのか、ギリギリセーフの参加でした。到着だけで必死な表彰式でしたが、金屏風の前でいただいた表彰状は、「児童文学の世界に新風を吹き込むことを願って」で始まっていました。まだそよ風すら起こせない私ですが、いつかは暴風を吹かすつもりで頑張ります。なんたって『季節風』同人ですから!
 児童文学者協会の会長である内田麟太郎氏に、「上から読んでも下から読んでも『かさくのくさか』です」と自己紹介しましたが、正直、次は、佳作以上を目指します! 季節風の同人の皆様、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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