受賞のことば

工藤 純子

「デビュー十年目を記念して、同期でアンソロジーを出そう!」
 濱野京子さんのそんな声掛けで、この企画ははじまりました。アンソロジーというものは、だいたい出版社が企画して、作家に依頼するもの。出版不況が続いている中、作家が持ち込んだ企画を本にしてもらえるんだろうか……と、正直わたしは半信半疑でした。しかし、揃ったメンバーがすごい。菅野雪虫さん、濱野京子さん、廣嶋玲子さん、まはら三桃さん。今をきらめくイケイケな作家ばかりです。たまたまデビューが同じ年だったわたしは、ラッキーとしかいいようがありません。しかし、「たまたま」とも言い切れない、運命のようなものも感じます。雪虫さんとまはらさんが「講談社児童文学新人賞」で新人賞と佳作だったとき、最終審査で落選したわたしを、後藤竜二さんが救い上げてくださったのです。そして十年後、お二人と一緒に講談社からアンソロジーを出せる事になるとは、まるで物語のようだなぁ、と思わずにはいられません。
 そんな経緯で、最初に出したアンソロジーが『ぐるぐるの図書室』でした。ひこ・田中さんが、「ライバル&仲間の競演」と評した通り、決して「共演」ではありませんでした。妥協せず、遠慮せず、我が道をいく! みなさん個性的すぎるから、うかうかしていると置いていかれてしまいそうで……。これはまずい! と、わたしも必死で食らいつきました。
 おかげさまで、『ぐるぐるの図書室』は好評、第二弾の『ぎりぎりの本屋さん』が生まれました。
 五人で打合せをしていると、まるで女子トーク。ここでも個性が際立って、ボケとツッコミを繰り返すうちに、話が本題からどんどんずれていき……それでもちゃんと作品がでてくるところは、さすがプロ!(とかいってる場合ではないですが)とにかく、刺激的な2006年組なのです。
 そして第三弾が、おそらく来年……。『ぐるぐる』『ぎりぎり』に続くものは、なんだと思いますか. どうぞ、ご期待ください!

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