作者のことば

佐藤 まどか

 例年になく寒い寒い春。ブルブルと震える日々に舞い込んできたのが、一通のメールでした。用件は「うつのみやこども賞受賞の知らせ」。突然、 冷え切っていた四肢の末端に血が通いはじめました。「昨年出版された児童書の中から、宇都宮の高学年の子どもたちが一冊を選ぶ賞です」というではありませんか。
 ホーム・ページをのぞきに行くと、選考委員の子どもたちの感想が並んでいました。「音楽一筋の主人公の生き方に感動した」「友情やチームワークの大切さを教えてくれた」「登場人物のさまざまな特技が面白かった」など、受け止め方は様々で、それがまた素晴らしい! 肌の色や宗教や好みがまったくちがう人と共存していくこと、自分の「夢」を持ち続けること、 枠にはまらないことなど、物語の中のメッセージをしっかりと受け止めてくれていたのです。
 授賞式と講演会のために帰国できるかどうかという打診に、すぐに「もちろんです」と返事をしました。荒れた思春期を過ごした自分が多くの本に励まされたように、拙著が子どもたちの心にすこしでも寄り添うことができたら、こんなに嬉しいことはありません。
 ありがとう、そしてガンバレ子どもたち!

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