作者のことば

堀米 薫

 このたびは、日本児童文芸家協会から栄誉ある賞を授けていただき、心からありがたく思います。
 はじまりは、二〇〇八年の季節風大会物語分科会です。その場に集った仲間たちと、原稿用紙五十枚の小さな作品「メダワセ、エリックさん」をもっと良い作品 にするにはどうしたらいいか、熱くかつ真剣に語り合いました。後藤さんの、「これは、とても大事なテーマになるよ」という言葉も、忘れることができません。
 そうえん社の小桜浩子さんと何度もやりとりする中で、物語の道筋を整理し、さらにふくらみを持たせることができました。その間、後藤さんからは、「メダワセ!」という件名のついたメールで、励ましてもらいました。
 挿絵は、小泉るみ子さんに描いてもらうことができました。牛飼いの仲間たちが「もしかしたら、この人、農業やっていたのか?」と聞いてくるほどの、力のある絵です。
 たくさんの方々に支えられての受賞に、感謝の気持ちでいっぱいです。
 後藤さんに本を手渡すことができなかったことは、心残りでなりません。
 でも、私はいつでも、こう言いたいのです。
 「後藤さん、『チョコレートと青い空』は、季節風物語分科会から生まれた本です」と。

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