――ムカつくほどに厳しくて、悲しいほどに優しくて――
そんな不遜な書き出しで、季節風札幌道場の感想を書いたのは、去年の秋。
「生きにくい世の中だけど、そんな中でも見えて来る、ほんの小さな光を描いていきたい」
道場でそう言った私に返ってきた言葉は、
「でも書けてないじゃん」
効きましたねぇ。大会に持って行くはずだったその作品は、バサッと捨てました。いただいた言葉に襟を正し、一から書き起こしたのが、受賞作の原点『今日という日の向こう側』です。(二週間で、よくやった自分!・笑)
荒削りな拙作に、分科会ではたくさんのご意見や激励のお言葉をいただきました。
この作品は、本当に大事に育てていきたい。という思いが強まっていく大会でした。
そんな気持ちを持ち帰り、大幅に書き換えた作品を、北海道の仲間たちに何度も読んでもらいました。改稿に改稿を重ねて出来上がったのが『放置自転車、15歳(、ぬけがら)』です。間違いなく、今までの《ベスト》と胸を張れる作品となりました。でも、あくまでも応募時点の自己ベスト。今後、もっともっと深い作品に仕上げていきます。
そして、これからも。
この作品以外にも、その時その瞬間での最高のものを、真摯な姿勢で書くことのできる書き手になりたい。そう思っています。
「トラックを走らせる力は持っている。でも、荷物を積み忘れていないかい?」
書き始めた五年前からほとんど全ての作品を読んでくだっている先輩に、かつて、いただいた言葉です。これまで漠然と捉えていましたが、今、ようやく、その言葉に込められた深い意味が分かったような気がしています。
たくさんの仲間がいたから、ここまで来ることができました。一人では絶対無理でした。
みんな、本当に、ありがとう!
そして、これからも、よろしくです。