子どもたちが選んでくれた「福井市こどもの本大賞」。
児童文学を書いている者として、最高にうれしい気持ちで一杯です。
発表会当日、私の目の前で「こども司書くらぶ」のメンバーたちが、本を読んだ感想を自分の言葉で話してくれて、思わず胸が熱くなりました。そこには、保護者の方や先生の手が入っていません。
「こども司書くらぶ」は、本が好きな小学四〜六年生の子どもたちが、自ら希望して申込み、現在約三十人の登録があります。毎月、福井市立みどり図書館に集まり、「ひと箱本棚」づくりや絵本の読み聞かせなどの交流会を行ったり、貸し出しなどの体験活動をしたりと充実しています。
「福井市こどもの本大賞」の選出もその活動のひとつで、数多く出版された高学年読み物の新刊本を司書の方が下読みし、おすすめリストから子どもたちが読みたい本を自由に選びます。この活動は図書館司書の皆様のお力がなくては、とうてい成り立ちません。またノンフィクションというジャンルにも光をあてていただき、大きな励みになりました。心よりお礼申し上げます。
こども司書たちの中には、大人の本を読みこなし、推しのYA作家の話を熱く語る子どもたちもいて驚くばかり。その姿を目の当たりにした私は、読書離れが進む現在の厳しい状況に、希望の光を感じずにはいられませんでした。と同時に「この子たちに推してもらえる作品を書きたい!」と、決意を新たにしたのです。
「書くことが好き」というだけで、三十年以上も書き続けてこられたのも仲間の力や、一冊の本ができるまで伴走してくださった編集者の方など、関わってくださったすべての皆様のおかげです。心より深く感謝申し上げます。